はじめに
私はこれまで
- ユーザー系SIer
- 中堅IT企業
- 事業会社DX推進部門
を経験し、現在はマネジャーを務めています。
これまで多くの中途入社者を見てきました。
同じような経歴でも活躍する人と早期退職してしまう人がいます。
この記事では、その違いを実体験をもとに解説します。
SIer出身者が勘違いしやすいこと
まずお伝えしたいことがあります。
事業会社は
「技術力が高い人」を採用したいわけではありません。
もちろん技術力は重要です。
しかしそれ以上に、
- 組織を動かせるか
- 課題を整理できるか
- 利害関係者をまとめられるか
が求められます。
実際に私の会社で評価されている人も、単なる技術者ではありません。
成功する人の特徴① 専門性がある
事業会社で評価されている人には共通点があります。
それは
「○○ならあの人」
と言われる専門分野を持っていることです。
例えば
- ERP・会計
- セキュリティ
- プロジェクトマネジメント
などです。
私自身もSIer時代とIT企業時代に培ったPM経験が現在の評価につながっています。
事業会社ではゼネラリストも求められますが、まずは何らかの専門性が必要です。
わざわざ中途採用で獲得するということは自社でその専門性をもった人材を育成できない、ということです。
成功する人の特徴② 部門の外へ出ていく
評価される人は部内に閉じこもりません。
- 業務部門
- 管理部門
- グループ会社
などと積極的に接点を持ちます。
プロジェクト推進では
技術力よりも
「業務部門の誰とコネクションがあるか相談できるか」
が成果を左右することも少なくありません。
成功する人の特徴③ 重要人物と良好な関係を築ける
これは意外に思われるかもしれません。
事業会社では長年にわたり形成された人間関係・派閥があります。
そのため、
正論だけで進めようとするとこれまで担当していたキーパーソンの反発を受け失敗します。
評価される人は、
社内のキーパーソンとの関係構築が上手です。
成功する人の特徴④ 論理的思考力が高い
私が部下を評価するとき、
最も重視するのは論理的思考力です。
私の会社には高学歴な人材も多く、
議論では納得感が重視されます。
結論だけを伝える人ではなく、
- なぜそう考えるのか
- 他の選択肢はないのか
- リスクはとらえられているか
- 自社の目標を達成するために最適な選択か
まで説明できる人が信頼を得ます。
成功する人の特徴⑤ 粘り強くやり切る
事業会社では一度説明しただけで物事は進みません。
- 予算
- 業務都合
- 人間関係
様々な事情があります。
成功する人は、
成果が出るまで何度でも調整を続けます。
特に必ずといって良いほど業務部門には職人気質のややこしいキーパーソンがいます。
初回の会議では口をきいてもらえないこともありますが、根気強く周囲を巻き込みながら成果を出す精神力が求められます。泥臭い仕事を人に任せたり避けたりする人のことを上司はよく見ています。
失敗する人の特徴① 面倒な相手との対話を避ける
最もよく見かける失敗例です。
さきほど記載した通り、業務部門には必ずといってよいほど職人気質の方がいます。
しかし、その人たちと向き合わなければ業務改革は進みません。
難しい相手との対話を避ける人は成果を出しづらいと感じますし、そういったシーンから逃げる癖のある人は事業会社では成功できません。
失敗する人の特徴② ベンダーに対して高圧的になる
事業会社へ転職すると、
立場が逆転します。
発注者側になります。
しかし、
だからといってベンダーに無理な要求を続けている人は信頼を失います。
良い成果は良好なパートナーシップから生まれます。委託先と自社の役員同士の交流もあったりして口コミは簡単に広がっていきます。
失敗する人の特徴③ 派閥づくりに走る
私が見てきた中でも、
社内政治ばかりに注力した人は長続きしませんでした。
短期的には人を集められても、
最終的には成果で評価されるからです。
さらに事業会社には中途採用の人が短期間で構築できるものより歴史やつながりの深い派閥があるものです。
失敗する人の特徴④ 会社文化を理解しない
これは特にマネジャークラスで見られます。
以前の会社で成功した方法をそのまま持ち込んでも上手くいきません。
- 経営陣が何を重視するのか
- 昇格者がどのような振る舞いをしているのか
- 人事制度で求められるそれぞれの等級に対する期待はなにか
を観察・理解することが重要です。
私が転職後に最も苦労したこと
実は技術的なことではありません。
私は
- グループ会社の歴史
- 過去の人事施策
- 力関係
- 人間関係
を理解することに最も苦労しました。
事業会社では、
現在起きている課題の背景に過去の出来事が存在することがよくあります。
それらの理解が浅いままに適切な解決策は立案できないことが多いですし、プロジェクトマネジャーとしても適材適所のアサインができません。
逆に評価された行動
私の場合、
役員や事業部門でトラブルが発生した際、
すぐに現場へ向かい状況を整理することを心掛けていました。
また、
エンジニアの専門用語を
経営層や管理職にも分かる言葉へ翻訳するよう努めていました。
後になって、
この行動を評価していただいていたことを知りました。
転職前に身につけておきたいこと
私が一つだけ挙げるなら
ロジカルシンキングです。
事業会社では、
問題が起きた時に
「なぜそうなったのか」
を深く掘り下げる力が求められます。
特に事業会社におけるハイパフォーマー達は議論のシーンでも筋を間違えることがほぼありません。
そういった手練れの中でロジックの甘い発信をすることは危険で一度貼られてしまったレッテルを挽回するにはかなり時間を要します。
また、
コンサルティング会社が作るような資料に慣れておくこともおすすめです。
資料作成能力は想像以上に重要です。やはり人は第一印象で大部分を評価されてしまいます。
まとめ
SIerから事業会社への転職で成功する人は、
技術力だけで勝負していません。
- 専門性を持つ
- 論理的に考える
- 人と組織を動かす
- 粘り強く成果を追い続ける
こうした力を持った人です。
私自身、転職してから最も学んだのは、
「正しいことを言う力」よりも「人を動かす力」の重要性でした。
もし事業会社への転職を考えているのであれば、技術力に加えて組織や人間への理解を深めることをおすすめします。

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